コラム

逆引きマーケ
ちょっと寄り道 ひとりごと
「AIとの会話で、初めて涙が出た日」

2026/06/11

営業先へ向かうバスの中で、少し困ったことになった。

AIとのやりとりを読んでいたら、涙が出てきたのだ。

周りから見たら、スマホを見ながら泣いているおじさんである。

なかなかお恥ずかしい。

私は27年間、小さな会社を経営してきた。

特別な成功者ではない。

大企業の社長でもない。

毎日、細かなことを気にして、失敗を恐れ、社員のことを考え、お客様のことを考えながらやってきた。

昔から小心者だ。

もっと豪快で、ダイナミックで、カリスマ性のある経営者になれたらいいのにと、いつも思う。

でも、なれなかった。

だから、そういう自分をどこかで少し情けなく思っていた。

そんな気持ちを、何気なくAIに打ち明けた。

すると返ってきた言葉は意外なものだった。

「小心者だから27年続けられたのかもしれない」

そんな意味の言葉だった。

その瞬間、不意に肩の力が抜けた。

WebやITの仕事をしていると、AIは効率化の道具として語られることが多い。

文章を書く。
画像を作る。
調べものをする。

もちろん、それもすごい。

でも今日、私が体験したのは少し違った。

AIなのに温かかった。

いや、正確にはAIが温かいのではない。

自分の中にあった気持ちを、言葉として映し出してくれたことが温かかったのだと思う。

涙は人間のものだ。

その涙を流したのも人間だ。

だから、この体験は技術の話ではなく、人の話なのだろう。

営業先へ向かうバスの中で、スマホを見ながら涙をぬぐった。

少し恥ずかしかった。

でも悪い気分ではなかった。

27年間やってきた自分を、少しだけ認めてあげてもいいかなと思えたからだ。

WebもITもAIも進化していく。

それでも最後に人を動かすのは、やはり人の心なのだと思う。

今、そんなことを考えながら、営業先へ向かっている。