コラム

逆引きマーケ Vol.7:
きれいなのに、記憶に残らない。

2026/07/16

とある展示会のホームページを見ていました。

今はAIで、見栄えの良い写真は数分で作れてしまいます。

コーヒー。
パン。
笑顔。
フルーツ盛り合わせ。
どれも美しい。

でも、数分後には、その画像を思い出せませんでした。

なぜだろう。
どれもきれいにまとまっている。
でも、私は少しだけ寂しい気持ちになったのです。

なぜ、時々AIの画像に寂しさを覚えるのだろうか……。

私もAIを毎日のように使っています。
アイデア出しにも、文章にも、とても助けられています。
このコラムのサムネイル画像もAIです(笑)。

AIを否定するつもりは、まったくありません。

昔は、一枚の写真を撮るために、

カメラマン
デザイナー
コピーライター
クライアント
…

みんなで集まり、「何を伝えるのか。」を何時間も議論しました。

つまり、写真や画像ではなく、「意味」をつくっていた。

今の子どもたちや学生は、AIがごく当たり前の日常の中で育っていきます。
それは、とても便利で素晴らしい時代です。

だからこそ、私は時々考えます。
これからのクリエイターに、本当に必要な力とは何だろう、と。

AIは、「きれい」をつくることは得意です。

でも、

「なぜ、これを見せるのか。」

「誰に届けたいのか。」

「見た人に、どんな気持ちになってほしいのか。」

そこは、人間が考えなければなりません。

だから私は、若いクリエイターほど、カメラの技術より、Photoshopの技術より、

人を観察する力。

クリエイティブの目的を考える力。

一つのものづくりに心を込めること。

そんな力を大切にしてほしいと思っています。

マーケティングとは、「きれいな画像をつくること」ではなく、
「伝えたい意味を設計すること」だと思うのです。

AIは画像をつくります。
でも、「伝わる理由」までは、つくってくれません。

これからの時代ほど、デザインより先に、写真より先に、コピーより先に、
「その画像で、何を伝えたいのか。」
という問いを持つことが、人間の仕事なのだと思います。

技術は進化します。
でも、人の心が動く理由は、昔も今も、きっと変わりません。

技術が進歩するほど、人間らしさは、むしろ希少になっていくのかもしれません。

私はAIの世界が、人間らしさを失う世界ではなく、
人の想いや温もりを、これまで以上に大切にする世界になってほしい。
そんなことを、ふと思いました。

◆筆者:辻 正雄

デジタジオ株式会社(ビジコン運営)代表
株式会社アーティストユニオン代表
経営者に寄り添うマーケター:マサオフィス