コラム

逆引きマーケ:ちょっと独り言
花を持たせる人の、少しだけ切ない話

2026/07/28

若い頃は、「自分が前に出たい」と思っていました。

アイデアを出したら、自分が説明したい。
成果が出たら、自分が評価されたい。

そんな気持ちは、誰にでもあると思います。

ところが歳を重ねると、不思議と少し変わってきます。

今度は、自分ではなく、誰かに前へ出てもらいたい。

「あの人が話した方がいい。」
「今回は彼が発表した方がいい。」
そんなことを自然に考えるようになります。

私は、それを勝手に「花を持たせる」と呼んでいます。

ところが、花を持たせるというのは、意外と難しいものです。

前に立つ人は、もちろん一生懸命です。
だから悪気はありません。

でも、ときどき、その花が誰の手で育てられたのか、忘れてしまうことがあります。

もちろん、私も「私が育てました」と言いたいわけではありません。

ただ……「一緒につくった人を語って欲しい。」

その言葉は、必ず自分を輝かせます。
その言葉で、人はまた頑張れるものなのだと思います。

もっとも、こんなことを書いている私自身が、まだまだ未熟です。

「気づいてほしい」と思ってしまう。
「少しくらい認めてほしい」と思ってしまう。

そんな自分を見つけるたびに、「ああ、まだ修行が足りないな。」
そう思います。

私は仕事柄、「マーケティング」を考えることが多いのですが、組織にも似たようなことがある気がします。

人は、お金だけでは動きません。
評価だけでも動きません。

「あなたのおかげです。」
その一言で、人は驚くほど力を発揮します。

だから私は、「称える」ということも、一つのマーケティングなのではないかと思っています。

人の心を動かす、一番お金のかからないマーケティング。

それは、人を認めること。

いつか私も、本当に花を「持たせられる人」になりたいと思います。

そして、その花が誰の手で育てられたのかを、自然と言葉にできる人でもありたい。

そんな人がいる会社、組織は少しだけ温かくなる。

最近、そんなことを考えるようになりました。

◆筆者:辻 正雄

デジタジオ株式会社(ビジコン運営)代表
株式会社アーティストユニオン代表
経営者に寄り添うマーケター:マサオフィス